バイクを選ぶとき、最も迷いやすいのが排気量の選択です。大きすぎても扱いにくく、小さすぎると物足りなさを感じることもあります。日常の足として使いたいのか、週末にツーリングを楽しみたいのか、それとも両方をこなせるバイクが欲しいのか――目的によって「ちょうどいい排気量」は変わってきます。
このページでは、51〜400ccまでの主要な排気量帯に注目し、それぞれの特徴、維持費、使い方に合ったモデルの違いを丁寧に整理しています。特に注目したいのは、街乗りにも遠出にもバランスが良く、多くのライダーが「ちょうどいい」と感じやすい51〜125cc、126〜250cc、251〜400ccの3つの排気量帯です。
- 自分の用途に合った排気量の選び方
- 各排気量ごとの維持費や燃費の違い
- 排気量ごとの走行性能と快適性の特徴
- 初心者や通勤向けに適した具体的なモデル選択
バイク51〜125cc 排気量で選ぶ基準

HONDA GROM
HONDA公式 https://www.honda.co.jp/GROM/
必要免許のチェックポイント
51〜125ccのバイクに乗るには、適切な免許を持っているかが最初の確認ポイントです。
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最低限必要な免許は「小型二輪免許」です。
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MT免許を取得すれば将来のステップアップにも対応しやすくなります。
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教習期間はATで最短2日、MTで最短3〜4日程度が一般的です。
平均価格の相場
51〜125ccクラスは、バイクの価格帯としても比較的手が届きやすいのが特徴です。
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新車は約30〜45万円、中古なら15万円前後から選べます。
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国内メーカーは、装備と信頼性を考えてもコストパフォーマンスが高めです。
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新型モデルはABSやスマートキーなどの装備が充実しており、その分価格も高めになります。
維持費の具体例
バイクを維持する上で、年間のコストがどの程度かかるかを把握しておくことは重要です。
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年間の維持費は約5〜8万円が目安となります。
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主な内訳は、軽自動車税2,400円、任意保険(原付二種)で約2万円、ガソリン代が月1,000〜2,000円程度です。
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オイル交換は年に2回行えば十分で、費用は1回あたり1,500円前後が一般的です。
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タイヤやブレーキなどの消耗品は年1回交換を見込み、合計で1.5〜2万円ほど必要です。
重量・シート高と取り回し
車体の重さや足付き性は、バイクの扱いやすさを左右する大きなポイントになります。
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このクラスの車重は平均110kg前後で、取り回しは比較的軽快です。
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シート高は760〜780mm前後が一般的で、身長160cm以上であれば多くのモデルで足付きは良好です。
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MT車は軽量フレームを採用しているモデルが多く、車体を押して動かす場面でも扱いやすさがあります。
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住宅街や駐輪場など、狭い場所での取り回しを重視する人には特に向いている排気量帯です。
サイズ感と保管スペース
51〜125ccバイクは日常使いに適したコンパクトさが魅力で、保管場所にも困りにくいサイズです。
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全長は1,800〜2,000mm程度が一般的で、都市部の駐輪場にも収まりやすい設計です。
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車幅は70cm前後のモデルが多く、自宅前の駐輪スペースや月極バイク駐車場でも無理なく収まります。
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ハンドル幅が広めのネイキッドやオフロード系は、物理的に置ける場所を選ぶことがあります。
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屋内保管が難しい場合は、防犯性の高いバイクカバーやU字ロックなどの対策も検討しましょう。
燃費で見る経済性
125ccクラスは、燃費性能が非常に優れており、ガソリン代を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。
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平均燃費は1リットルあたり45〜55kmで、車種によっては60km以上走るモデルも存在します。
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例えば通勤・通学で1日10km走行した場合、1か月のガソリン代はおよそ800〜1,000円ほどです。
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毎日使う人ほど燃費の恩恵を強く受けられる排気量帯だといえます。
最高速度と高速走行の余裕
125ccバイクは都市部の走行には十分な速度域をカバーしますが、高速道路を走行することはできません。
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125ccバイクの法定最高速度は60km/hです。
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バイク性能としての最高速度はおおむね90〜110km/h前後です。
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郊外のバイパスや片側2車線の一般道では、流れに乗るだけの加速性能と最高速があります。
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法規上このクラスは高速道路や自動車専用道路を走行できないため、ロングツーリングには不向きです。
加速性とストレスの少なさ
125ccバイクは、加速力においても日常使用に十分な性能を備えており、信号の多い街乗りでもストレスを感じにくいです。
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0〜60km/hまではスムーズに加速できるため、信号の多い市街地では不満を感じにくいレベルです。
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車体が軽い分、初速は機敏で、混雑した道路では取り回しのしやすさと合わせて快適に走れます。
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MT車はエンジン回転数をコントロールできるため、坂道発進や追い越し時にも安定した加速が可能です。
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中速〜高速域(60km/h以降)の伸びは弱く、急な追い越しや坂道ではパワー不足。
快適性
日々の移動を快適にするためには、ライディング姿勢や装備面なども含めた総合的な快適性が重要です。
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基本的にクッションが薄めで、座面も小さい傾向があります。長時間乗るとお尻が痛くなりやすいです。
- ただし、短時間の通勤・通学、街乗り用途なら問題になりにくく、むしろ足つきの良さや取り回しの軽さが快適性につながります。
- 振動や風への耐性が弱いため、長距離や高速域での安定感にはやや欠ける。
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シートやサスペンションが簡易的な設計のものもあり、舗装が荒れた道では不快感を感じやすい。
おすすめの使い方
125ccバイクは使い方次第で幅広いシーンに対応でき、コストパフォーマンスにも優れています。
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通勤や通学では、燃費・取り回しの良さが際立ち、渋滞回避や時間短縮に貢献します。
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郊外へのちょっとした買い物やカフェ巡りなど、趣味を楽しむ足としても適しています。
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遠距離移動には不向きです。
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日常を中心とした「生活密着型」の移動手段として選ばれることが多いです。
バイク126〜250cc 排気量で選ぶ基準

HONDA Rebel 250
HONDA公式 https://www.honda.co.jp/Rebel250/
必要免許のチェックポイント
126〜250ccのバイクに乗るには、「普通自動二輪免許」が必要です。
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免許の種類はAT限定とMTの2種類があります。
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教習期間はMTで最短約9日間、AT限定で約6日間が一般的です(教習所によって異なります)。
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小型二輪免許では乗れない排気量帯なので、すでに小型を持っている人は「限定解除」が必要になります。
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公道走行はもちろん、高速道路も走行可能なため、用途の幅が大きく広がる排気量帯です。
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取得費用はおおむね8万〜12万円前後
平均価格の相場
126〜250ccクラスのバイクは、コストと性能のバランスに優れた排気量帯です。
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新車は50万〜70万円、中古は30万〜50万円前後が目安になります。
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スクーター、ネイキッド、アドベンチャー、フルカウルスポーツなど、ジャンルが豊富。
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国内メーカー製のモデルは装備も品質も安定しており、中古市場でも値崩れしにくい傾向にあります。
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ABSやスマートキー、フルLEDなどの快適・安全装備もこのクラスから本格的に搭載され始めます。
維持費の具体例
維持費は比較的リーズナブルで、趣味と実用のバランスがとれています。
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年間維持費の目安はおおよそ6万〜10万円程度です。
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主な固定費は、軽自動車税3,600円、自賠責保険(2年)で1万2,000円程度、任意保険が年間2万〜4万円ほどです。
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燃費は車種によって変わりますが、ガソリン代は月1,500〜3,000円前後が平均的です。
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オイル交換は年に2〜3回(1回あたり2,000〜3,000円)、タイヤ交換やブレーキパッドは2年に1回が目安になります。
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消耗品の単価は125ccより高くなります。
重量・シート高と取り回し
車体サイズが一回り大きくなり、重量も増えますが、まだ扱いやすい範囲。
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平均的な重量は150〜180kg程度で、取り回しには多少の慣れが必要です。
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シート高は760〜810mm前後で、身長170cm前後であれば多くのモデルで問題なく足が付きます。
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ネイキッドやツアラータイプは重心が低く安定しており、立ちごけリスクも抑えられています。
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オフロードタイプはシート高が高めで、足付きに不安がある人は実車を確認するのが無難です。
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このように考えると、250ccは「中型バイクの入門編」として最適なサイズ感といえます。
サイズ感と保管スペース
126〜250ccバイクは、取り回しと収納性のバランスがよく、都市部でも保管しやすい大きさです。
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全長は2,000〜2,100mm程度で、屋外駐輪場でも利用できる場所が多いです。
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車幅は75〜85cmほどで、125ccと比べてわずかに広い程度。
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マンション駐輪場では、250ccが最大サイズというケースも多く、このクラスが都市生活に適した限界サイズとも言えます。
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雨や防犯対策としては、鍵付きバイクボックスや防水性の高いバイクカバーの使用がおすすめです。
燃費で見る経済性
126〜250ccクラスはパワーが増える分燃費はやや落ちますが、依然として自動車よりはるかに経済的です。
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平均燃費は30〜40km/L前後で、単気筒エンジンなら45km/L超えのモデルも珍しくありません。
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例えば片道20kmの通勤でも、月のガソリン代は2,000〜3,000円程度に収まります。
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タンク容量が10〜14Lあるため、航続距離は300km以上を確保でき、給油回数が減ります。
最高速度と高速走行の余裕
法的に高速道路を走れる排気量帯であり、ロングツーリングの安心感が大きく向上します。
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最高速度はおおむね130〜160km/hで、法定100km/h巡航時でもエンジン回転数に余裕があります。
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車体が重めなうえホイールベースが長く、直進安定性が高いため、高速域でのフラつきが少ないです。
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ネイキッドやツアラーにはウインドスクリーンが付き、風圧を低減して長時間走行の疲労を抑えます。
加速性とストレスの少なさ
250ccは中回転域のトルクに余裕があり、追い越しや坂道発進でもストレスが少ない排気量です。
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0〜100km/h加速はスポーツ系で7〜8秒台
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街中では2〜3速キープで流れに乗れ、クラッチ操作の頻度が減るため手首の負担が軽くなります。
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二人乗りやキャンプ道具を積んだ状態でも、エンジンが粘るので発進時に慌てません。
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車重は125ccより増えますがトルクで相殺できるため、信号ダッシュで置いて行かれる心配は少ないです。
快適性
シート・サスペンション・装備がワンランク上がり、長距離でも疲れにくい設計が施されています。
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シート幅とクッション厚が増し、200km超のワインディングでもお尻の痛みが出にくくなります。
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多くのモデルにプリロード調整式リアサスが搭載され、体重や荷物量に合わせたセッティングが可能です。
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LEDヘッドライトやUSB電源、グリップヒーター装着車も多く、季節や時間帯を問わず快適です。
おすすめの使い方
都市の通勤から週末のロングツーリングまで、1台で幅広いシーンをこなせるのが250ccの強みです。
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平日は片道30km圏内の通勤・通学、休日は200〜400kmのワンデーツーリングに最適です。
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高速道路を活用した観光スポット巡りや温泉日帰り旅でも、時間短縮と燃費の両立が可能です。
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車体サイズが許す範囲で大型パニアケースを装着し、キャンプやソロツーリングの積載量を確保できます。
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オフロードモデルなら林道探訪や軽いダート走行も楽しめ、アウトドア趣味と相性抜群です。
バイク251〜400cc 排気量で選ぶ基準

HONDA GB350
HONDA公式 https://www.honda.co.jp/GB350/
必要免許のチェックポイント
251〜400ccのバイクに乗るには「普通自動二輪免許(MTまたはAT限定)」が必要です。
- 400ccを選ぶことで将来的に大型二輪への移行がスムーズになります。
- 125〜250ccで経験を積んだ後、「もっと遠くへ」「もっと余裕のある走りをしたい」と感じる人には400ccが自然な次の選択肢です。
平均価格の相場
400ccクラスのバイクは装備・性能のバランスが取れた中価格帯のラインナップが中心です。
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新車価格は70〜90万円が主流で、人気モデルや海外製では100万円を超えるケースもあります。
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中古市場では走行距離や年式によって50万〜70万円台のモデルが豊富に揃っています。
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ABS、トラクションコントロール、ETC、フルLEDなど、快適装備が一通り揃っているモデルが多いです。
- 250ccに近いモデルもありますが、部品の強度や耐久性には差があり、長く乗るなら400ccのほうが安心。
維持費の具体例
400ccバイクは250ccと比較して税金や保険料が上がりますが、維持が困難なレベルではありません。しかしながら、忘れてはいけないのが車検代です。
- 年間トータルで8〜12万円前後が目安で、日常的に使用する場合は10万円以上を見積もると安心です。
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軽自動車税は年額6,000円で、250cc(3,600円)よりも高くなります。
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自賠責保険は2年契約で約12,000円、任意保険は年間2.5〜5万円ほどが目安です。
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オイル交換やタイヤ交換の費用は250ccよりやや高く、部品が大型になるぶん工賃も加算されます。
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ガソリン代は月2,500〜4,000円前後で、燃費や走行距離によって差が出ます。
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400cc以上のバイクには車検(2年ごと)が必要で、これが維持費に大きく影響します。
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一般的な車検費用は約4万〜6万円で、法定費用(自賠責・重量税・印紙代)と整備費用が含まれます。
重量・シート高と取り回し
400ccになると車体サイズと重量が明確に増加し、取り回しの感覚も変わります。
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平均車重は170〜200kg台で、250ccと比べて20〜30kg程度重くなることが多いです。
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シート高は760〜820mm程度で、車種によっては両足がしっかり着くものも多く存在します。
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ネイキッドやスポーツタイプでは前傾姿勢になるモデルもあり、信号待ちや低速時のバランスに慣れが必要です。
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駐輪時や押し歩きの取り回しは、傾斜や段差があるとやや大変に感じることもあります。
サイズ感と保管スペース
400ccバイクは本格的なフルサイズ車体となり、保管スペースの確認が欠かせません。
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全長2,050〜2,150mm、全幅75〜85cmほどが一般的で、月極バイク駐車場や専用ガレージの利用が現実的です。
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ハンドル幅が大きいモデルは、駐輪場のサイズ制限に引っかかる場合があります。
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マンションの屋内駐輪場では、400ccクラスの駐車を制限している場合もある。
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雨ざらしでの長期保管は、錆や樹脂パーツの劣化につながるため屋根付きが望ましいです。
燃費で見る経済性
251〜400ccは排気量が増えたぶん燃費は下がりますが、それでも四輪車よりはるかに経済的です。
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一般的な燃費は25〜35km/Lで、並列2気筒のツアラーは30km/L前後を維持します。
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タンク容量は14〜17Lが主流で、航続距離400km超も珍しくなく、給油回数が減る利点があります。
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例えば片道25kmの通勤を月20日走行しても、ガソリン代は3,000〜4,000円程度に収まります。
- 高速道路走行時には400ccの方がエンジン回転数に余裕があり、燃費が伸びやすいという“場面による逆転現象”もあります。
最高速度と高速走行の余裕
長距離・高速道路を快適に走るなら250ccとは段違いです。
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最高速度はおおむね170〜200km/hで、100km/h巡航時のエンジン回転数にも余裕があります。
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直進安定性が高く、横風や路面のギャップで車体が暴れにくいため疲労が溜まりにくいです。
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ウインドスクリーン付きツアラーやアドベンチャーでは、風圧を胸から上に逃がす設計が施されています。
- 400ccは車体剛性が高く、風に煽られにくく、長時間の巡航でライダーの疲労が圧倒的に少なくなります。
- ツーリングの目的地が「日帰りで200km以上先」という人には、250ccでは疲労が蓄積しがちです。
加速性とストレスの少なさ
400ccは中速域トルクが豊富で、追い越しや登坂でもアクセル開度を抑えたまま余裕を持てます。
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0〜100km/h加速は並列2気筒で約6秒台、4気筒スポーツで5秒前後に達します。
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坂道発進時でもエンストしにくく、二人乗りやキャンプ装備を積んだ状態でも粘り強く加速します。
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250ccは回して走る傾向が強く、「加速したいときに一呼吸おく感覚」が出ることがあります。
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ただ単にパワフルなだけでなく、スロットル操作に対するレスポンスが扱いやすい点もメリット。
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特に追い越しや登坂が多いエリアでは、400ccの余裕が実用性として大きな差になります。
快適性
シート、サスペンション、電子装備が充実し、長時間ライドでの身体負担が大幅に軽減されます。
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シート幅とクッション材が増し、300km超の連続走行でも臀部の痛みが出にくい設計が一般的です。
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前後サスに減衰調整機構が備わり、荷物量や路面状況に合わせてフィーリングを変えられます。
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クルーズコントロールやグリップヒーターを採用する車種もあり、寒冷地ツーリングの疲労が激減します。
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その一方で、発熱量が上がるため夏場の渋滞では熱だまりが発生しやすい。
おすすめの使い方
400ccは街乗りからロングツーリングまで万能にこなす“オールラウンダー”として人気です。
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平日は都市部の通勤・通学、週末は500km規模のワンデーツーリングがストレスなく楽しめます。
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高速道路経由の観光や温泉巡りでは、巡航時の振動が少なくリラックスした走行が可能です。
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大型サイドパニアやトップケースを装着すれば、キャンプやタンデム旅行の荷物もまとめて運べます。
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ワインディングロードでは十分なパワーと軽快な車体のバランスが取れており、“走り”を楽しみたいライダーにも好適です。
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一方で、狭い住宅街や未舗装路を頻繁に走るなら、取り回しの軽い250cc以下も選択肢に入ります。